2004年09月17日

パソコンとの出会い

 1970年の後半、当時小学校3〜4年頃の俺は学校帰りにいつもゲームセンターに通っていた。ゲーセンの名前もインベーダーハウスというそのまんまの名前で、たしかそこにあったゲームはインベーダーとオズマウォーズだったかな、CutieQもあったような気がする。当然ゲームをやるわけだが当時の俺の小遣いは一日50円しかもらえず、50円のゲームを一日1回しかできなかった。そばで何度もやっている中学生や高校生がものすごくうらやましく思いながら、他の人がやっているゲームをずっと眺めていたものだ。

 学校では「ゲーセンは不良の行くところだから絶対に行ってはいけない」という事になっていたのだが、そんなことにはお構いなしの俺は「悪いことはしたくないなぁ」という同級生を強引に誘って行っていた。

 さて、ゲーセンに着くとまずランドセルを隠す。いくらクソガキの俺でもランドセル背負ったままゲーセンてのは気が引けていたのと、ゲーセンでランドセルを背負っていたら目立つからすぐ先生に見つかってしまうだろうと思ったからだ。ただ、隠し場所がまたすごいところで、すぐ隣の駐車場にある車の下に隠すという荒技を毎回使っていた。もうゲーセンに着いたら1秒でも早くゲームがしたくて、「ランドセルを隠せるスペース!」と探してたまたま目についた所が車の下だったのだろう。たまに車が無くなっていてランドセルだけごろごろと放置されてたことも何回かあった。よくつぶされなかったなと、今思い出すとそう思う。

 当時、まだ街の電気屋さん全盛期で至る所に小さい電気屋さんが会った頃、50円を使い果たして暇になった俺と友達は、一緒に近くの電気屋+模型屋の中村電気にプラモデルやNゲージを眺めに行ったのだが、片隅にひっそりと日立のパソコン「BASIC MASTER Jr」がおいてあり、高校生位のにーちゃんがゲームをやっている所が目に入った。当時ゲームに目がなかった俺はすぐ反応し「俺もゲームやりたい!」と思ったのだが、その日はそのにーちゃんがいつになっても帰らなかったのであきらめて帰る事にした。これが俺が初めてパソコンに出会った日だ。

 数日後、友達と一緒にまたその模型屋に行ったのだが、その日はいつも居座っているにーちゃんがすぐに帰って行った。「やった!」と小躍りしながらパソコンの前に座り、早速ゲームをしようとコマンドを打ち始める。なぜ初めてさわったのにコマンドが解るかというと、ちゃっかり者の俺はそのにーちゃんが色々なゲームを読み込んでいるコマンドをしっかりと頭に記憶させ、いつ俺の順番が来てもできるようにしていたのだ。とりあえず読み込みコマンドを入力、確か魚釣りのゲームだったかな。

LOAD ”FISH”

 カチッとリレースイッチが切り替わる音が聞こえてしばらく待つが、全然始まらない。。おかしいなぁ・・・コマンドは絶対間違ってないはずなのになんでだろう・・と悩みながら、電源を入れ直してはコマンドを打ち込んでいた。どうしてもできないのであきらめて、キーボードをポチポチ打ち始める。「カナ」というボタンを押すとカタカナが出るようになり、「おお!すごい!」と自分の名前や友達の名前を入れて遊んでいた。これだけでこの時はすごく楽しかったんだよなぁ、ワープロをおぼえたての人がキーボードで画面に文字を出せたときの感動と同じかもしれない。この日は確か蝉が鳴いている真夏の土曜日。学校が終わってすっ飛んで行ったと記憶してる。

 この日はこれで帰宅したのだが数日後、いくらがんばっても読み込めなかった原因が判明した。またにーちゃんが遊んでいる所を目をさらにして凝視していたのだ。よ〜〜く見ていると、にーちゃんは別のゲームを始める時に必ずカセットテープを入れ替えていて、「あれにゲームが入っているのか!」と瞬時に納得。まぁ、普通に考えれば「なんも無いところからプログラム読めるわけ無いだろ!あたりまえだ!」と思う所なのだが、ガキの俺の頭では外部に記憶したりそこから読み込んだりなんて発想はできるはずも無かった。

 とりあえず、これでゲームを実行する手順は全て覚えたのだが、問題はゲームの入っているカセットをどうやって調達するかという事だ。その頃は市販のゲームなんて物は無いと行っても過言ではない時代、しかも田舎。たまに大きいデパートで売り物のゲームを発見しても、カセットテープに「カーレース」とかゲーム名が書いてあるのラベルが貼ってあるだけの代物でスクリーンショットも何もなく、どんなゲームなのかさっぱり解らない。

 当時のゲームは99%ほとんど全てがクソゲー。おもしろいゲームに遭遇するなんて事は宝くじの1等に当選する位確率が低い。カセットにラベル張ってクソゲー入れとけばバカが騙されて買っていくんだから当時のソフト屋には天国のような時代だったんだろうな。

 もちろん俺は購入する金もなく、迷わず万引きして実験してみたのだった。そう考えると騙されたとか文句言う筋合いは全くないか・・

つづく