オヤジが買いに出かけてから15分経過
(ka)「買いに行ったにしても、あまりにも遅く無いですか」
俺「そうだよなぁ、すぐ近くに店あるよなー」
などと話していると、さすがにおばちゃんも気になってきたらしく。
「ごめんね〜、うちの人が、生イカのイカが気にくわなかったみたいで、仕入れに行っちゃったのよ」
無いなら無いって言ってくれればキャンセルするのに。仕入れに行ってるのに今更キャンセルなんて言えないしなぁ、何とかキャンセルして他の店に行きたいな、と思っていた所に先制攻撃されてしまった。ずるがしこい女なのだ(c)東海林さだお
俺「いえいえとんでもないです、ワザワザすいません」
と、もうオヤジが帰ってくるのを待つしか無いなと諦め、新鮮ではないチルド鯵を嫌々頬張りながらビールで流し込んでいると、やっとオヤジが帰ってきた。30分は経っていたんじゃないだろうか。
さすがにビールも5本位は飲んでいて、腹も一杯になってきていてヤバイなぁと思ってた所だったので「やっと来たな〜、オヤジ」と安堵の雰囲気に包まれていたその時、
(ka)「ヒデさんちょっと待ってください、あれってホタテですよね?」
俺「・・・・だよな、俺も薄々感づいてはいたけど、アレはどう見てもホタテだよな」
流し台の上に置いてあるホタテは他のお客用の物と思っていたのだが(いや、そう思いたくて見て見ぬふりをしていた)、肝心のイカがない。
(ka)「どうするんでしょうか、アレ。まさかイカと間違えてるなんてことは無いですよね」
俺「どう考えても、イカとホタテは間違えようが無いだろうな・・。というかちゃんと捌いてるし」
まな板の上には大振りなホタテが2つ。オヤジは常連客らしき人と雑談しながら、カシャカシャとホタテを洗い始め、機嫌良さそうにカラカラと貝から外し始めていた。
ここからはもう、不安ですよ。俺と(ka)は。不安一杯ですよ。どんな不安かというと、
・どんな顔して持ってくるんだろうか、とか。
・持ってきたときに「注文したのはイカなんだけど」と指摘したらどんな事になるんだろうか、とか。
・出来上がって運んでくる最中に注文がイカだったことに気が付いて、又買いに行ってしまうんじゃないかとか、
・おばちゃんから指摘されてキレてしまうんじゃないか、とか。
色々最悪の事態をシミュレーションした訳ですよ。酔っ払った頭で。
いや〜長かったなぁ、ホタテをバラし始めてから出てくるまでが。
それでですよ、もの凄くかまえてたわけですよ、俺と(ka)は。ゴルゴが背後にたたれまいと警戒してる並みに。
で、来ました。もう堂々と、キレイに盛り付けされたそれをこっちに持って来た訳です。
ホタテを目の前に置かれ、数秒の沈黙。俺と(ka)は先程シミュレーションした、自分が取れる行動の選択肢が次々と頭に浮かんできた訳です。
1.「何事も無かったように食う」
2.「注文したのはイカだよ、と、間違いを指摘する」
まぁ次々と言っても、実際俺らが取れる行動はこの2点しかない。あとは言うタイミングだ、問題は。つーか、もう選択しないと!どうする!。俺と(ka)が「イカ」と、喉元まで出かかっていると、オヤジが話し始めた
「わりぃぃねぇ、良いイカが無くてさぁ、これほん気持ちだから、これ食べて」
やられた!と思いましたよ。俺と(ka)は。こんなこと言われちゃぁ食わざるを得ない。ただイカが食いたかっただけなのに、30分間もハラハラドキドキさせられた上、コレですよ。
俺らが貝類苦手とかだったら、どうなってたのだろうか。等と考えながら、さくさくっと食って店を後にし、駅までの道のりではホタテとイカに関する話で大盛り上がりでした。
で、問題の味ですが。まぁ、さすがに買ってきたばかりのホタテは、まぁまぁ食えましたよ。ヒモがちょっと生臭かったけど。
つーことで、もう行かないリスト入りしたお店でした。
今回もおもしろかったです!
おじさん、憎めないね。
また変わったお店探してきてね〜
いや〜、久々のヒットでしたよ。
また変な店見つけたら書きます。